私は貴方の婚約者ではありません!ただの中身アラサーな暗殺者です!
「残念ながら、貴方が婚約破棄を宣言したのは婚約者ではありません。私は『皇族の杖』ベンタブラック家の末娘です!」『第七皇女様なので自由に恋がしたい』というなんとも言えない題名の乙女ゲーム。 そのプレイヤーだった七瀬朝はアホみたいにブラックな仕事を終え、数ヶ月ぶりに家に帰ろうとした瞬間。車に轢かれそうな子猫を助け、死んでしまった。 なんとも虚しい人生だった。 もし生まれ変わったのなら、大好きな『第七皇女様なので自由に恋がしたい』の主人公に生まれ変わりたい! そう願ったらまさかの転生?! でも望んでいたのはこれじゃない。私は第七皇女になりたかったのになんで護衛の暗殺者になってんの?! ゲームの舞台。ナノポーラス皇国には、公爵家が4つ、存在する。『皇族の剣』スカーレット家『皇族の頭脳』シェーレ家『皇族の盾』インミン家『皇族の杖』ベンタブラック家 皇族に使える4つの家門はそれぞれそう呼ばれている。 だがベンタブラック家についてはそれだけではなかった。『皇族の杖』というのは表向きの呼び名であり、裏では『皇族の影』と呼ばれている。 その名の通り、ベンタブラック家は『皇族の影』だ。 幼少期から暗殺術や幻覚魔法を叩き込まれている。 そのおかげか末っ子のマニャーナは兄弟の中でも随一の才能を持ち現場にも出されている。 今は第七皇女の護衛役として務めている。 そんなある日、隣の国の王子と第七皇女との婚約が発表された。 隣国の王子はそれはそれはイケメンだった。性格も良し、頭も良い。良いとこだらけだった。 こんな良い結婚はない!みんな喜んでいたが隣国の学園に移った皇女から手紙が届いた。「私は母国に帰りたいです。王子は別の女性に惚れ、罪のない私を責めていくのです」 これを見た皇帝は怒り狂い、戦争だと叫んだがそういうわけにもいかない。そこでベンタブラック家が潜入することとなった。 その計画の中心は護衛を任されているマニャーナ。 彼女はベンタブラック家特有の高レベルな幻覚魔法を使い皇女になりすまし、皇女の代わりに学園の卒業パーティーで婚約破棄された。 そう。まさかの七瀬朝はマニャーナに生まれ変わってしまったのだ! 最悪だ!そう思っていだが案外悪くない?むしろ主人公を間近で支えて推しまで見れる!最高じゃない! これは、ゲーム世界に転生し、推し活と公爵令嬢とアサシンの三重生活を送る、中身アラサーの少女の物語である。…続きを読む