第12話 新しい仲間 (1/2)

「いやー、本当に助かったのであります」

非常に衰弱した状態だったものの、イエラキの癒しの光とコーヘイの栄養ドリンクで見違えるほど回復したドワーフの娘はカリスと名乗った。アープスで魔道具の研究をさせられていのだという。

もっと樽のような体形の種族というイメージを持っていたコーヘイにとっては意外だった。身長はイデアと変わらず、ガッチリとした体躯は格闘技をやっているようなそれである。ピンクがかった長い髪を無造作に大きく三つ編みでまとめているあたり性格がうかがい知れた。

「自分、魔道具の精密加工を得意としておりまして、その腕を買われて皇立魔道研究所に雇われて行ったんでありますが、もう扱いが戦争捕虜のような状態でして」

カハハと笑うがなかなかの経験をしていた。

「2年と1004回の作業の後、えらい事実を知ってしまいまして、まずは自分がここから脱出して助けを呼ぼうと」

「なんだ? その1004回ってのは?」

「あー、2年目以降はアープス民の同僚たちと隔離されて独房のようなところと作業場で生活しておりましたもので、月日の感覚がなくなっております」

「延べで6年半はアープスにいたことになりますわ。つまり、4年間は独房生活でしてよ」

アープスに行った月からイデアが逆算し驚きの声を上げる。

「まー自分たちは地下や洞窟が苦にならないタチですから、10年もすれば状況も変わるかなと思っておりまして」

長命種特有ののんびりした生活設計である。これに楽観主義が加わると怖いものはない。

「そうそう、そこで魔結晶の研究もやっておりましたが、これは軽く説明しますと魔物の血液を凝縮させて結晶化させるのですが、実はより強い物を作るのに……」

「魔族やほかの種族を使っていた、ですわね」

苦々しく口にする。

「ご存じでしたか、姫様」

そこまで一気に話をしたドワーフ娘のお腹が元気よく鳴いた。

「たははは、面目ありません。あちらでは碌なものを口にしておりませんで。もし可能であれば何か……」

と、あたりを改めて見回してコーヘイ達の快適アウトドア環境が目に入ったのだろう。

「何でありますか! あの! おそらくは乗り物は! それに! この!」

「まー、落ち着けって。飯食ってからでも逃げやしないから」