第14話 コーヘイ、英気を養う (1/2)
「着いてみたらあっけないもんだな」
「もっと、こう、巨大生物との激闘なんていう物を期待したんですがねぇ」
と、城の中庭にキャンプを設営しながら笑いあう戦闘部隊は本日も物騒である。
使われていない平屋の兵舎と井戸のそばという絶好のテントサイトを提供されたのは、彼らの存在自体が超国家機密であるが故の事で、それはすなわち城から外に出ることが叶わないことを意味していた。
「それはそうと、俺たちはいつまでここに居ることになってるんだね? 隊長殿」
ディナーの主役になる牛肉ブロックに塩コショウを振りながらコーヘイ。
「俺としちゃぁ、今夜にでもお姉ちゃんたちのいる店に脱出したいと思うんだがな」
「どうも謁見をしなくてはならないようです」
「謁見? 国王とはビーチフラッグスやった仲だろ?」
「こちらにも、まぁ、当然ですが指導者といいますか王族がいる訳ですよ。ただ……」
「ただ?」
「あの一件から街を守ったおかげで、現在お眠りあそばされているそうなん、だ」
イエラキが投げ渡し、少しそれた缶ビールをキャッチする。
「ほぅ、強力な防御結界を張ったわけか。さしずめ大司教か聖女ってところだな……なんだよ」
オーガストが驚いたような顔をして見せる。
「お前さん、平民だとか言いながらたまに凄いこと知ってるな。その通り、聖女プラテネス第一王女殿下だそうだ」
「俺の国はな、何にも起こらない代わりに『もし起きたらどうなるか』なんていう話が山ほど書かれとるのだよ」
「起こっていない現象をどうやって?」
「想像して書く。おかしいところは経験したことのある奴が修正する」
「まさか! 手の内を見せてどうするんだ。間違いはそのままにしておけば良いだろうに」
戦いの世界から来た4人は揃ってうなづいた。