第20話 レベルアップという考え方 (1/2)

久しぶりに夢を見た。

外だ。どこかのキャンピング場かもしれない。

焚き火を見ながら誰かと話しつつ、もう一人の自分がその光景を見ているという不思議な視点だった。相手は女性で、でも顔は不思議と分からない。何かを話しているが内容は全く頭に入ってこない。なんとなく今の暮らしが楽しいかというような話だったような気がする。

「新しくするならキャンピングカー? それともカーゴ?」

「あー、キャンピングカーは気に入ってるからなー。宝くじ当たったらカーゴをもっと豪華なのにしてもいいな」

「そうだねー……」

こんな風に女性と二人でキャンプに出る日など来るのかな、などとつまらない事を考えてみる。

空を見上げるとまぶしい太陽が輝いていた。

まぶしい。

もう日が昇ってしまったか。久しぶりに寝坊したかも、寝ぼけた意識のままそんなことを考えた。しかし、身体はまだ十分な休息を摂っていないという信号を出す。

違和感を覚えてコーヘイは目を覚ました。

先ほど感じたまぶしさはどこにもなく、テントの中はまだ暗闇に包まれていた。

「なんだよ、まったく……」

枕もとのLEDランタンを灯して上半身を起こすと、テントの外に気配を感じた。

「コーヘイ殿、起きているでありますか?」

声の主はカリスだった。

「良いぞ、どうした?」

「お邪魔するのです」

紺色のジャージのハーフパンツに白のTシャツ、ピンクパールの長い髪はザックリとした三つ編みで一つにまとめられていた。普段とは少し違う雰囲気に少し身構えてしまった。

「どうしたんだ、こんな早くに?」

「あ……あの、えーっと」

と、入り口部分でモジモジしている。

コーヘイは軽く息をついて立ち上がると、

「まー座れよ。コーヒーでも入れるわ」

「き、恐縮です」

折り畳みのベンチに腰を下ろす。

コーヘイはポットから湯を注ぎインスタントコーヒーをさっと作る。

保温マグを渡しながら、

「で、どうしたんだ?」

できるだけ、落ち着いた声を意識してベッドに腰掛ける。

「あの、胸がどきどきして……」

マグに口をつけ、

「コーヘイ殿のセイでありますからね」

これは……。

「なにがだよ」