高校一年の冬。世界との別れを決意した白柳 華は、一人の魔法使い・黒条 凜と出会う。　「こっち側に、来る？」その言葉に導かれ、華の日常は一変する。　物理法則すら捻じ曲げ、思うままに事象を操ることの出来る『魔法』の力を手に入れたのだ。　七年前に両親が事故死したことがキッカケで、華は自分よりも他者を大事にするようになる。それは魔法の使用によって寿命が減っていくと知りながらも、輝かしい未来が約束されていたはずの両親がまだ幼かった華を救うために溺死した、その贖罪ために、華は見ず知らず他人を救うことこそが、生き残った自分の存在意義なのだと考えるようになり次第に自らの寿命を削りながら魔法の力で人々を救っていく。　そしてもう一人の主人公―――凜は全てを持ちながら、誰よりも空虚な自分自身にひどく絶望し、そのことが原因で孤独に苛まれていた。やがて凜は、他者から己の存在意義を見出そうとして、その答えが何処にもないと知った時、魔法の力が暴走を始める。　両親の死後、初めて愛おしい存在に思えていた凜が姿を消して数か月後、突如、東京は『一人一殺宣言』によって未曽有の大混乱に陥る。　そんな中、華は事件の影に、眼の前から去っていった少女の陰を見る。　華にとって自分の事を両親以外で初めて必要としてくれた凜は特別な存在となっていた。　誰もが本当の孤独を知らない。知らないフリをする。そんな紛い物の世界に一石を投じる二人の少女の物語。…続きを読む