英語が話せる事だけが取り柄の高校二年生──岩橋マナブは、今日も凡庸な日々を過ごしていた。普通の日常、普通の授業、普通の日々。しかし、そんな日常は突然の『声』によって、いとも容易く瓦解する。　『声』は言った。「力を与える」と。「君たちは選ばれた」と。そして、「殺し合え」、と。　『声』は続けて言った。 「諸君らに『文字』を与える」と。「AからZ。アルファベットの文字列を、諸君らに一文字ずつ与える」と。　『声』はさらに言った。「『文字』には『具現化する力』がある」と。 「『Ａ』の文字を持つ者は『Apple（リンゴ）』や『Ant（蟻）』を生み出せる。『B』の文字を持つ者は『Bike（自転車）』や『Bird（鳥）』を生み出せる」、と。　主人公はそれを聞いて戦慄する。　『具現化する力』。それは想像以上に強大で、そして凶悪な力だ。「文字の力」をもってすれば、文字通りなんでも出来る。『B』の文字を持つ者はBomb（爆弾）すら作れるし、『T』の文字を持つ者はTank（戦車）であろうと作れる。『W』の文字を持つ者はWarp（ワープ）出来るし、『F』の文字を持つ者はFly（飛ぶ）事だって出来る。　半信半疑のまま、主人公は『声』の話を聞く。そして『声』が「以上」と言った瞬間、主人公の手の甲に、とある文字が刻まれた。主人公が与えられた文字は──。──これは、26人の選ばれた者たちが「文字の力」を使い、「全能の力」を求めて争い合うバトルロワイアル。…続きを読む