母は兄を愛している。兄のことだけを愛している。

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時間: 9 月 前
まとめ:

母は兄を愛している。 兄のことだけを愛している。 兄が先天的に病弱だと知り、自分も病弱な母は、わたしを生む決心をする。 兄が四歳のときだ。 兄の世話を焼かせるためだけに母はわたしを生み、育てる。 だから、わたしの子供時代は地獄絵図だ。 そんな母は高名な作家で前職はピアニスト。 兄と離れて暮らすのが厭で演奏公演を止める。 母のピアノにはパトロンがいる。 その真の意味をわたしが随分後のことだ。 わたしが十四歳を過ぎる頃、母の身体に異変が起こる。 父が不幸な事故で亡くなってから十四年後。 特定の病気になったというわけではなく、身体全体がゆっくりと衰弱し始める。 その頃から、母のわたしに対する態度がきつくなる。 やがて兄に恋人ができ、わたしは数粋な運命に翻弄される。

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