"未来人"だったのかもしれない。そんな女の子が昔、同じクラスにいた。
【あらすじ】 埼玉のとある場所で行われた成人式。 嫌々ながらもなんとなく夜の同窓会にまで参加していた大学生の石狩翔(いしかりしょう)は、中学時代の同級生で当時仲が良かった会澤穂高(あいざわほたか)と再会し、話をする。その流れの中で会澤は石狩の他に、同じく同窓会に参加していた氷川咲(ひかわさき)と笹本亜香里(ささもとあかり)にも声を掛け始めた。 四人が集まったところで、会澤はこの場にいない『新島未翔(にいじまみはね)』の話を切り出す。 新島は中学二年生のときに石狩たちの学校に転校してきた少女で、一年間クラスメイトとして過ごした後、中学三年生になる前にまた別の学校に転校していった。 しかし、高校生になって二年目の冬、突如彼女が行方不明になったという噂が流れてくる。 新島とはもうすっかり疎遠になっていた石狩たちは、当然のことながら事件の詳しい事情を知らず、失踪したという事実をかろうじて知るのみだった。 それなのに、会澤は同窓会の終わりにとんでもないことを言い出した。 「新島さんは未来人だったんじゃないかな」 後日、再会した四人は『新島未翔は未来人である』という仮説を立て、それにまつわる三つの謎を提示していく。 その謎とは、以下のようなものだった。『第一の謎 新島未翔はなぜ組体操での怪我を予知できたのか?』『第二の謎 新島未翔はなぜ生徒手帳の在り処がわかったのか?』『第三の謎 新島未翔はなぜ未来の絵を描くことができたのか?』 転勤族だった新島と石狩たちが一緒に過ごしたのは、中学二年生のときの一年間のみ。だけど、たとえ短くとも濃密な数々の思い出が存在していた。 それらを頼りにして、当時は気づくことができなかった真相に迫っていく。 果たして、新島未翔は未来人だったのか。 答えは、最後の帰り道を歩く彼女だけが知っていた。…続きを読む