死神さんは、自殺者により良い死を提供する

Other 100K Active
著者: 城島 大
時間: 9 月 前
まとめ:

(ネタバレあり)〇月×日。私は自殺した。そのはずだったのに、私が目覚めたのは、自殺用品店の中だった。店主である死神さんは、自殺者により良い死を提供する。その身を永遠に綺麗に保つ毒薬トラウマを燃やし尽くしてくれるライター想い人と共に引き金を引くことのできる拳銃しかしそれらを得るためには、嘘偽りなく自分のことを話さなくてはならない。「あなたはウソをついていますね」死神さんはそんな言葉と共に、いじめを苦に自殺したという私のウソを暴いていった。彼女の推理によって私が同性愛者であり、親友だったはずの女性を好きになってしまったことが自殺の原因であると知られてしまう。私は自分自身にさえ隠したかった理由と今度こそ向き合い、再び生きることを決意する。死神さんは、そんな私にこの店で働くことを勧めてくれた。人の数だけ自殺の理由がある。生きたいと思う願いがある。死神さんが暴く、自殺者の嘘の数々を聞きながら、私は生と死について学んでいく。しかし再び、私を死が侵食し始める。現実に、私を支えてくれる人は一人もいない。死神さんだけが、私を理解し、支えてくれる存在だった。しかし、そんな死神さんにも死が迫っていた。人間の魂を食べる機会が減ってしまっているのが原因だ。そして、私は衝撃の事実を知ってしまう。私は、死神さんに何度も会ったことがあった。自殺を拒否した人間は、本来ならここでの記憶をなくしてしまう。私は何度も自殺を繰り返し、何度も生きることを決意し、そしてそのことを忘れ、何度も死んでいた。死神さんの力を奪いながら。私は再び自殺することを決意する。しかし、そんな私の元へ死神さんは来てくれた。いつも、私の死にたいという気持ちを尊重してくれた死神さん。しかしその日、彼女は涙ながらに私に言った。「私はあなたに、生きていて欲しいのです」と。私は再び生きることを決意する。今度は死神さんはいない。それでも私はひとりじゃない。死神さんと、自殺を通じて知り合った人たちが、一緒にいるのだから。…続きを読む

Top