関係が近すぎると、時に手が届かなくなる

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最新: 第41話
時間: 9 月 前
まとめ:

ネタっぽい一幕 悠子は勝手に冷蔵庫を開いて中から色々と取り出した。手際よく二人分を調理していく。味噌汁の香りに、軽やかな包丁のトントントンという音が鳴った。一通り作り終えてベッドへと戻る。「まだ起きぬのか、放っておいたら昼まで寝ているのではあるまいな?」 流石にそれはないだろうとは思っても、全然目を覚ます気配がないので考えを変えることにした。「そうやって一人で寝ているからいかんのだ、そうだ私も隣で寝て待っておれば良かろう」  壊れ気味の発想だが彼女を止める者は居ない。皺になるので上着を脱ぎ、布団をめくって晶の隣に転がる。なるほど晶も寝ていられるし、悠子もこれならいらだつ事も無い。 ――あれ、何だかやけに暖かいな。何か良い匂いがする……味噌? あくびをしてから目を開く。そこにはじっと自分を見ている悠子の顔がドアップであった。あまりの驚きで声にならない何かを発して、後ろに頭をそらして壁に衝突する。ゴツン、鈍い音がした。「ぐぁ!」「朝から何をしておるのだお前は」「おま、その台詞!」 ――なんで一緒に寝てるんだよ! ……ってか何で居るんだ? ぼーっとする頭で必死に思い出そうとして、そういえば六時にドアを開けて招き入れたと気付く。 「朝に来るって、六時はぶっ飛びすぎだろ」「そうか? ならば次は気をつけるとしよう」 布団をめくって起き上がる。気をつけた結果がどうなるかを言及する前に別の事件が発生した。「脱ぐなって言ったろ!」 ――その格好で同じ布団って、俺がどうにかなるわ!「皺になるではないか。それに寝覚めは良いほうなのだな」「目も覚めるっての! どんだけ衝撃的な寝起きを演出する気だよ!」 朝一でこれだけ叫んだことなど今まで無かった。できれば今後も無いようにと晶は願った。…続きを読む

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