俺が魔法少女って、何の冗談ですか?
俺――芹澤悠太郎(せりざわゆうたろう)はある日、いつものようにバイト先から帰宅するその帰り道で、魔法少女が異形の怪物と戦っている現場に偶然居合わせてしまう。 魔法少女といっても、いかにもそれらしいフリフリの服を着ているという訳ではない。学校の制服らしきものを着た普通の女の子が、武器を携えて、怪物と戦っていたのだ。 じゃあ、なぜ俺は彼女が魔法少女だと分かったのか。それは――この現場に居合わせたもう1人の人物、高級車から降りてきた美人だが性格のキツそうな女が、戦っている彼女を見て――魔法少女、とそう呟いたからだ。 そして、その女は俺に対して、こうも言った。「――割のいい仕事があるんだけど、興味ない?」 今思えば、それは俺の運命を大きく変える一言だった。 その女に連れられた俺は、謎の施設で妙な薬を飲まされ、そのまま眠ってしまう。 そして次に目が覚めたとき、俺は――、 ――女になってしまっていた。 それも、まだ17かそこらという、少女の姿で。 戸惑う俺に対し、先ほどの女――藍染千景(あいぜんちかげ)は俺に言う。 魔法少女になって欲しい――と。 なんでも、魔法少女は本来2人1組で戦うものなのだが、あのとき遭遇した魔法少女――速水珠々奈(はやみすずな)には、まだ正式なパートナーが決まっていないのだという。 つまり俺に、彼女のパートナーになって欲しい、ということらしかった。 あの子のことが何となく気に掛かっていた俺は、渋々ながらもそれに承諾し、魔法少女となることを決める。 だが、そんな俺を待っていたのは――。「「「私のお姉様(シスター)になって下さい!!」」」 なんやかんやあって魔法少女を養成するための学校――翠桜華(すいおうか)女学院高等部の2年に編入することになった俺を待っていたのは、まだパートナーの決まっていない下級生たちからの猛アプローチだった。 そして肝心の速水珠々奈は――俺に警戒心を抱いている様子で、なかなか打ち解けてくれない。 ――あれ? なんか聞いてた話と違くね? 俺は何とか珠々奈との距離を縮めようと奔走するのだが……。 かくして、芹澤悠太郎改め――芹澤悠里(せりざわゆうり)の波乱に満ちた魔法少女ライフが幕を開けたのだった。 ※本作は『小説家になろう』にも投稿しております。…続きを読む