幼い頃の話だ。　僕は好意を恋と勘違いしたまま従姉を好きになってしまった。　気持ちのすれ違いに気付いた従姉は心に傷を負った。　僕も、他人を好きになることにトラウマを抱えるようになった。　そして日常生活に戻ろうと逃げた僕の前に、一人の少女が現れる。　輝くほど素晴らしい人間性を持っていた従姉とは対照的に、やや捻くれた性格の『彼女』に出会ったのだ。　記憶が過去となり、従姉の存在が薄れていくにしたがって、穏やかで静かな彼女に心惹かれるようになっていく。でも、従姉とのトラウマからか、なかなか僕は彼女との距離を詰めることが出来なかった。高校生になってようやく付き合うことになったけど、従姉を傷つけたことを思い出して。　僕は、彼女と別れる決意をする。　それは彼女を怒らせてしまうだけだった。　だから、僕は――。