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「スヨン! スヨン!」

誰かがスヨンと呼ぶ声……。ということは、まだあの世界に居るの?

ゆっくりと瞼を開けると、友と教えられたコウが覗き込んでいた。

やはり、巫女のスヨンとして生きている世界だ。消し去りたいと思っていた命は、まだここにある。

ゆっくりと起き上がりながら、辺りを見渡してみた……。 木枠の小窓から、朝陽が燦燦と射し込んでいる。ログハウスをもっとレトロにしたような、木の香りがいっぱいに漂う団体部屋……。四つあるベッドの一番奥で、私は深い眠りに就いていたらしい。

ここ半年くらいは寝付きが悪く、朝起きて学校に行くことが本当に辛かった。けれども、今朝は心も身体も嘘のように軽い。

「スヨン見て! 今日の私達の衣装よ」

「えっ、私達の?」

コウが、紫色に銀色の刺繍が施された装束を手渡してくれる。昨日の紺色の衣装に比べると、かなりグレードが高い。

そうだ、今日は王家の婚儀に出席するんだ。

「早く、着替えましょ!」

「あっ、はい……」

素っ気ない私の反応に、コウのテンションが一気にトーンダウンする。

「スヨン、まだ様子が変ね……」

「あっ……、うん……、ごめんなさい」