ウミウシ。 (1/2)

ピーちゃんは体の全てが氷で出来てるらしい。そして個体差でもあるのか、ピーちゃんの氷は原材料が海水のようだ。

なるほど。海の獣って<ruby><rb>原始魔法</rb><rp>(</rp><rt>スキル</rt><rp>)</rp></ruby>に相応しい鳥となのか。

だからなのか、この世界の海神様であるデュープさんの加護を受けてるポロに大して好感度がバカ高い。多分これは海の獣を使って呼び出したからじゃ無さそう。

俺の好感度が微妙なのは、まぁポセイドン様の信徒だからかな。

召喚したは良いけど、送還しようとすると全力でイヤイヤしてピーピー無くピーちゃん。ポロと離れたく無いのだろう。気持ちは分かる。

だけど精霊と違って実態があるピーちゃんを常に召喚し続けるのも問題がある。なぜならデカいし、寒いから。

「…………ピーちゃん、その寒さを引っ込めて小さくなれるか? そしたらポロとずっと一緒に居られるぞ」

「ぴっ?」

それを聞いたピーちゃんは「え、マジで?」と言うように俺を見た後、バキンバキンと体の氷をパージし始めた。最後にはインコサイズの鳥がそこに居る。

え、普通に可愛いんだが。俺もピーちゃんが良かった。海の獣頑張れよガチャ運SSR来い頼む。俺も俺の事大好きな氷怪鳥が良いお願いします。

小さくなったピーちゃんは嬉しそうにポロの所まで飛んできて肩に止まる。そして俺にも「お前よくやった。さすが主の番だな」的な感じで翼をポンポンしてきた。

「ピーちゃん可愛い。よろしくね」

「ぴー!」

姿は猛禽だが、サイズは完全にインコである。可愛い。そうか、俺は魚を愛してたけど、鳥も良い物なんだな。

「よし、今度は俺の番だろ。…………海の獣、発動」

気を取り直して俺もスキルを使う。すると目の前にポロの時と同じような魔法陣が走り、モンスターを呼び出す。

そして、空中に召喚されたソイツは重力に従って落ちていき、ピーちゃんが生み出した氷を叩き割って水中に沈んで行った。

「おぃいいいいッ!? 大丈夫か俺の眷属ぅぅぅう!?」

「危ない、守護結界」

かなり大質量な生物が氷を叩き割って落ちたので、大きな波が発生した。ポロはすかさずスキルを使って結界を構築。守護結界は法術と違って範囲指定が可能なのか、ボート全体を守るように展開された。

………………俺達のだけ。

「だから俺達もぉぉぉお!?」

「沈むぅぅうう!?」

沈まない。ポロの<ruby><rb>海神の七召命</rb><rp>(</rp><rt>オーシャン・オーダー</rt><rp>)</rp></ruby>で神器化してるポロップ号は転覆しない。ただ中に水が入って乗り心地最悪だろうから、<ruby><rb>海神の神術</rb><rp>(</rp><rt>オーシャン・レア</rt><rp>)</rp></ruby>で中の水を外に排出してあげた。

守りの法術は水や空気を除外出来なかったが、守護結界は拒絶対象を取捨選択出来るようだった。

「………………なんか変なのだった」

ポロが落ちてって奴の感想を言う。確かに変なのと言って良いシルエットだったと思う。