第3話 微妙なスキル (1/2)
「そうだ。さっきのスキルを見てみよう」
レメゼールさんが、重い空気を変えようと違う話を振って来た。僕的には、それにも触れたくないのですが……。
「まずステータスを出してくれるかな?」 「はい。ステータス」
ダンジョン内は、明かりが無くてもなぜか歩ける程度にうっすらと明るい。なので白い文字だと見やすかった。
「このスキル増殖の詳細を見たいと思ってみて。上手くいかないようなら言葉にしてみるといい」 「スキル増殖の詳細」
口に出してみた。
◎スキル増殖 階が新しくなる度に新しいスキルを覚える事が出来る。但しダンジョンを出ると消滅する。
「え……」
何このスキル。増えるけどダンジョンを出ると消滅するって……。覚える意味がないだろう!
「うーん。初めて見るタイプのスキルだな。ちょっと試してみようか」 「試すって?」 「下の階に下りるって事。ダンジョンの事は知っているかい? 下の階に通じる魔法陣を見つけて下りる。5階毎に脱出用魔法陣があるから覚えておいて。一応習ったはずだけど、君、色々忘れているようだから」
興味なかったからね。ダンジョンに行きたくなかったから覚えたくなかったとも言うけど。
「ありがとうございます。覚えておきます」 「なので取りあえず、一つ下の階に行ってみて、増えたスキルがどんなモノか見てみよう」
レメゼールさんの提案に僕は頷いた。 僕もそれがいいと思った。
レメゼールさんについて行くと、10分もしないうちに魔法陣に辿り着く。ここにいるスライム達は、攻撃しないかぎり攻撃してこないらしく、姿は見たけど遠くからだった。
初めて見たモンスターの感想は、「小さい」だった。 スライムだからかもしれないけどね。
魔法陣は、直径1.5メートルほどの円で思ったより小さい。乗ると数秒で次の階へ行くらしい。
なんか怖いな。ちゃんと同じ場所に転送されるだろうか?
「大丈夫。行き先は決まった場所だから」
僕が何を考えているのかわかったのか、レメゼールさんがそう言ってくれて安心した。ついでに一緒に乗った。 一瞬、周りが光りに包まれたけどすぐに元に戻る。さっきと変わらない感じだけど、違う場所だ。
「さて、ステータスを見てみようか」 「はい。ステータス」
ステータスには、スキル増殖の他に、サーチと言う文字が増えていた。
「す、凄いなこれ」 「凄いんですか?」 「サーチは便利だからな。敵の位置だけではなく、宝箱があればそれもわかるらしいから」 「宝箱!? そう言えば、強くなる為に宝箱も魔神様は用意して下さったって習った気がする」 「あははは。そう言う事は覚えているんだ」