第52話 (1/1)

学園

学園は騒がしかった。 野次馬がいるわけでもない。騎士団や部外者が集まっているわけでもない。 ただいろいろなところから話が聞こえる。風の噂。噂話。姦しいという奴か。「何かあったんだな」 ドーリーは隣のVにそんなことを言った。Vもわかっているが、何があったかまではつかめていない。

「どうも」 職員室のドアを開け、受付の仕事も任されている新人にそう声をかける。 部屋の中はもっと騒がしかった。困惑と深刻さ。「あぁ、お二人方、とりあえず中へどうぞ。ご確認したいことがありまして」「あの二人が大会優勝したとか、そういう楽しげな事じゃないな」「だったら僕らも素直に喜ぶんですけどね」 新人の声の雰囲気で、何か問題が起きた、という事を察した二人の反応である。

「新聞部、非正規の方です、あなたを襲った方の。新聞部の三人についてなのですが、おふたりは講習最終日、どこで会いましたか」 いつもの応接ルームではなく、そのまま教頭の机まで通された二人。挨拶もそこそこに教頭からそんなことを聞かれた。「あの三バカ大将、いや、三人ですか。なにかやったんですか?」 ドーリーの率直な意見。答えにはなってないな、と思ってVは補足をする。「最終日は昼食の際に食堂で会いましたね。謝罪文を頂きました。あと、まぁ話の流れで彼女らはその場で菓子を頼んで、一緒にいろいろしゃべりましたね。新聞部の話だとか、まぁ彼女らの自慢話が主でしたが、僕らの事とか、あと次のネタはオカルトでいくとか、そんなのことを聞きいたり、あと私らのことを話したりしましたよ。で食べ終わった後に別れました。」 食事が終わった後で解散して三人はどこかに消えていった。 なのでそれ以降は知らない。授業に行ったか適当な記事を書きに行ったかいいかげんな記事のネタを探しに行ったかだろう。「それでなにごとですか?」「三人が行方不明なんです。それで足取りを追っているんですが」「大事」 Vの疑問に教頭の返答、そしてドーリーの驚き。 流れるような一連の反応。