第43話〜出会い (1/2)

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喉が渇いた。

水筒の水はとっくに飲み干してしまった。

ここ数日、水を飲んでいない。

保存食はまだあるが、水がないせいで食べるのにも苦労する。

階段を見つけては上り、もう五層分は進んだ。

階段を上がる度にモンスターが増える。

もしかしたら進む方向、いや、上下を間違えたのかもしれない。

普通に考えて、ダンジョンは進むほどに難易度が上がり、敵の数も増えるはずだ。

けれど上がる度にモンスターを簡単に倒すことができるようになってもいる。

もう道を引き返す余裕はない。

このまま進む以外に道はない。

…………。

ナイフを振るう。

悲鳴もなく、目の前のゴブリン三体の首が飛ぶ。

もう片手でもこんな雑魚には苦戦しない。

それは例え身体が不調であってもだ。

スキル【体術】と左手を失う前と同じ程度には動けるようになったとは思う。

ズキンと、もうない左手が悲鳴をあげる。

目の前で緑色のドロリとした血を吐き出すゴブリンの死体が目に入る。

臭気も醜悪さも、気にならなかった。

気付けば嫌悪感すら感じていた緑色の血を啜っていた。

そして喉の入り口でえづいて吐いた。

苦労して食べた食糧すら吐いて、半分乾いてザラザラしている舌を何度も爪で掻いた。

ダンジョンの床にはもう僅かな灰の山と、クズ石のような破片しかなく、そして半ば固形の吐瀉物が広がっていた。

水が欲しい。

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このまま死ぬのだろうか。