第38話 (1/2)

(第三者視点)  大月照史が逮捕され、その後裁判で執行猶予付きで釈放された。しかし彼は前科者として人生を歩まなければならなくなった。その事実に彼は絶望した。

(……何でこんな事に)

一つの動画から彼は瞬く間に転落して行った。

(……全てはあの動画のせいだっ)

彼は自分がしたことを忘れ、全くの見当違いのことをさも正解のように思う。それは篠崎がした現実逃避と同じようなものだった。

そして一人自宅に帰ると、そこには一通の手紙が置いてあった。 その光景に彼はあの時の悲劇を思い出していた。 母がいなくなったあの時と全く同じ。

(嘘だ……父さんまで……嘘だ嘘だ嘘だ)

彼は最悪の想像をする。そして彼は置いてあった手紙を手に取り、そして折ってあった紙を開ける。

「っ!?」

そこにはただ一言。

“手に負えん”

母同様、父も逃げたのだ。息子を見ているとまるで昔の自分を見ているようで怖くなったのだ。父の康弘も息子と似た性格を持っていたために余計そう思ったのだろう。“これはお前だ”、と。そして彼は逃げた。苦しみから逃れるために。それはなんと自己中で、責任能力がないのだろう。しかし息子の照史にはそんなことは知る由もなかった。

「……っ、ふざけんなよ……」