第19話 (1/2)

「───んぁ?」

「っ!?新谷くん!!!」

「……ぁ、さ、沙耶香……?」

「……うん、うん……!よ、よかったぁ……!」

気がついたら、俺は病院にいた。まだぼやけてよく見えないが、手を握ってくれているのが沙耶香だと言うことだけは分かった。

「……俺、大丈夫、だったのか?」

「うん、命に別状は無いって……よかったよぉ……!」

「……心配かけたな」  ちょっと暴力振るって捕まってしまう可能性があるというのが不安だったからとはいえ、流石に腹にナイフを刺れた状態で殴ったりするのはキツかった……マジ危ねえ。もう二度としたくない。

ナイフは確かに腹に刺さってはいたが、刺されていた場所が場所だけにちょっと危なかったらしい。  「……怖え」

「……あんまり思い出さない方がいいよ?」

「……そうだな」

これで、山代に殺されかけたのは二回目となるわけだが、一度経験していたからか、ある程度落ち着いていた。

と、俺たちの間で静かな空気を醸し出していたその時、ガラガラと、病室の扉が開く音がした。 俺たちがそっちを向いてみると、刑事ドラマとかに出てきそうな人がそこにいた。

「警視庁の者ですが、少しお話を聞かせてもらえないでしょうか」

「……はい」

「ありがとうございます。それでは───」

それから数十分間、いろんなことを聞かれた。主に、その時の山代の行動だとか、言動だとか。 一通り質問し終えたのだろう、彼はメモ帳を閉じてそれを胸ポケットにしまった。そして“ご協力、感謝します”と一言言ってから病室を去ろうとした時、俺は聞きたいことがあったのを思い出した。

「……山代は、ちゃんと起訴されますよね?」

「………」

彼はその質問に少しだけ悩んだ様子を見せた。恐らく話してもいいのか考えているのだろう。 彼は一度小さく頷いた後、口を開いた。

「はい。間違いなく」

「……ありがとうございます」

「………」