第15話 作戦会議 (1/1)

「やるって決めたのはいいけど、どのくらいのレベルまで上げればいいんだ?」「オズは、魔王くらいになってくれたらいいよ」「ま、魔王⁉」「うん。そうだよ」「半年でそこまで行けと⁉」「オズなら大丈夫だよ!」「いずれはそのレベルを目指していたから、まあ何とかするか」「それで、私は勇者くらいになれば、2人で何とか勝てそうだよ!」「魔王と勇者の共闘か。それなら、勝てそうだな」

村を守る為には、オズは、魔王並みの力を。アリアは、勇者並みの力をつける必要があるそうだ。 言い換えれば、2人ともが前世の力を身に着けるということである。 魔王と勇者は、歴代最強クラスの実力の持ち主である。

「そんなレベルまで上げないといけないってことは、相手はこれまでとは比べ物にならないってことか」「姿は、ドラゴンみたいな感じだったよ」「ドラゴンの姿で、最強クラスとなると……。あいつしかいなくないか?」「やっぱりオズもそう思う?」「ああ、m class="emphasisDots">バハムートしかいないだろ」

『バハムート』それは、この世界で無敵とされているドラゴンだ。 ドラゴンの中でも飛び抜けて強く、たった1体で世界を支配した。 最強と言われている魔王と勇者が一緒に戦ったとしても、勝てる可能性は低い。

「でも待てよ。バハムートって、封印されたんじゃなかったか?」「そうよ、ある老人によってね」

アリアは、オズにその出来事について話した。 そう、バハムートは1人の老人によって封印されたのである。 世界を支配した後、バハムートは破壊を楽しんでいった。 そうして、人類が絶滅しそうな程の被害を受けた時に、1人の老人がバハムートに立ち向かったのである。 その老人は、とても小さな村の村長で、実績などは一切知られていなかった。 そんな老人がバハムートに立ち向かうのだから、村の人々は止めようとした。 しかし、その時の老人は全くの別人のように見えたようで、みんなはその老人に全てを託したそうだ。 そうして老人は、バハムートの前に行くと、呪文を唱えた。 その瞬間に、バハムートは村の石像へと吸い込まれていったらしい。 その後、すぐに老人は亡くなり、その石像が村の守り神として扱われるようになったそうだ。

「そして、その石像がアジサイ村の石像なの」「それなら、バハムートが何者かによって封印から解放されるってことになるのか」「その可能性は低いと思うよ」「なぜだ?」「今の平和な世界でそんなことをする人がいるとは思えないよ。それに、封印を開放するのにもとてつもない魔力が必要だから」「それじゃあ、どうしてバハムートが村に出現するんだ?」「それはね、魔法の効力が切れるからよ」「ってことは、その老人が使った魔法って……」「一時封印テンポラリーシール。一時的なものなんだ」

封印魔法には2種類あり、『一時封印テンポラリーシール』は名前の通り一定期間しか封印できず、いずれは封印が解けてしまう。 それともう1つは『永久封印インフィニティシール』である。 永久封印インフィニティシールは、一時封印テンポラリーシールとは異なり、永遠に封印し続けることができる。 バハムートは、一時封印テンポラリーシールであった為、その開放が半年後であるということだ。

「それなら、僕たちでまた、封印すればいいってことだな」「まあ、そうだね。倒しきるか、永久封印インフィニティシールのどちらかだね」「どっちにしても僕たち2人は強くならないといけないってことか。でも、僕は封印がいいと思う」「私もそう思う。けど、オズが死んじゃう可能性もあるから……」

封印魔法は相手によって、魔力の消費が変わる。 今回のバハムートとなると、流石にオズでも魔力が尽きてしまい、命を失う可能性がある。

「これは、世界の平和も掛かっているから仕方のない犠牲だよ」「私は、オズが死ぬのは嫌だ。だから、倒したいの」「本気で言っているのか?」「うん。やって見せる。そのためにも、オズの魔法が必要なの」「仕方ない奴だな。やってやろうじゃねぇか」「ありがとう、オズ」「ただし、勝てないと思ったら、すぐに封印魔法を使うからな」「わかってるよ」「じゃあ、そろそろ村に戻ろうか」「そうだね。急がないと、お母さんに怒られちゃうよー」

そうして、2人は戦うことを決め、村へと戻っていった。