これは記憶を奪われた少年と、死の呪いを受けた少女が世界の真実を探す物語
著者: 星川蓮
最新: 第43話 麗しの花(後編)
時間: 9 月 前
まとめ:
テラ──それは太陽が失われ、全てが変色したもう一つの地球。空は茶色に、雲は黒に。赤いはずの炎ですら緑の輝きを放つ、そんな世界。太陽を失ったことで地上の生命は滅びの道を辿るかと思われた。しかし、未来を憐れんだ聖女アーラが不思議な力をふるうと、太陽のない大地に植物が育ち始め、温かな風が吹き始めた。物語の始まりはそれから一万年が経った後になる。失われた光を取り戻すため、人々は二つの種族に進化を遂げた。ひとつは地上に降り注いだ太陽エネルギーから生まれた妖霊と契約し、角や獣の耳など妖獣の身体的特徴を受け入れた妖族。もうひとつは自らの遺伝子を操作して魔力を自己生産し、世界を文字情報として見るようになった魔族。元は同じ人間だった両種族は、住処を分け、国を築き、王を戴き、それぞれ平和に暮らしていた。はずだった──ある日、妖族の青年イグニスは奇妙な状態で目を覚ます。全身に奇妙な呪文が描かれ、体はおぞましいキメラのように変形し、自分の名前すらわからないほど、それまでの記憶を全て失っていた。わけのわからないまま出会ったのは、盲目の魔族の少女フロース。「あなたの記憶は全て預かった。返してほしければ私の言うことに従うこと」記憶を人質に取られたイグニスは仕方がなくフロースに従うことにし、世界の真実を探す物語に出発する。何故一万年前に太陽は消失したのか。何故イグニスはフロースに記憶を奪われたのか。何故フロースは光を失ってしまったのか。巧妙な嘘と驚愕の過去が渦巻く中、イグニスは最悪の真実を知ることになる──…続きを読む